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受験生の皆さんへ

学びとキャンパスライフ 研究編

「大学生になったら、どんな風に学んだり、研究したりするのかな?」
大学での学びは、高校までに経験してきた“与えられる学び”ではありません。現在進行形で活躍中の先輩達の研究や環境理工学群の充実した学びの環境についてご紹介します!

Facus on Research 先輩たちの研究最前線

大学における本格的な研究ライフがスタートするのは、やはり研究室に配属されてから。先輩たちの研究活動の様子や、研究室の雰囲気をレポートします。

今回取り上げたのは「化学専攻」
Report.1

「光ピンセットで拓く人工光合成」の研究を志す

化学専攻3年 | 稲田さん | 長崎県出身

 僕は現在、伊藤先生の光機能化学研究室に在籍しています。この研究室では、光と物質の相互作用を取り扱う「光化学」を中心とする研究を行っていて、中でも僕は「人工光合成」と「光ピンセット」をキーワードとして研究に取り組んでいます。

 人工光合成は言葉通り、植物の光合成のような反応を人工的に組み上げるものです。僕はその中で大事な役割をもつ光触媒に興味があって、その性質を評価するために光ピンセットに注目しました。光ピンセットは、2018年にノーベル物理学賞を受賞したアシュキン博士によって開発された技術で、レーザー光を粒子にあてた時に発生する光の放射圧という超微小な力を使って、液体や気体中で常にブラウン運動をしている微粒子の捕捉を可能にしました。この技術を用いれば、より小さいスケールの状態や性質の分析・評価が可能です。


光ピンセットの概略とレーザー光を使って様々な分析を行うシステム

 僕は現在、伊藤先生指導のもと、光触媒の粒子を測定・評価するための装置を一から自分で設計・構築している最中です。市販の装置だと決まった測定しかできませんが、自分でシステムを組むことで多様な測定ができます。並行して既存の装置で粒子を捕捉する実験も行っており、うまく捕捉された様子を映像で見られた時は、うれしくて興奮します。研究はまだ始まったばかりですが、意欲をもって楽しみながら取り組むことができています。



伊藤亮孝講師から
 彼は早期配属※で2年生の時に別の研究室を経験した後、光触媒の研究がしたいと当研究室に移ってきました。自分の方向性がより明確になった時、そのように柔軟に対応できるしくみがあるのはとても良いことだと思います。教員と学生の距離も近いので、よくコミュニケーションをとりながら、彼の成長を楽しみに日々指導しています。

※1年早く研究室に配属、3年次に早期卒業することで、大学入学から最短5年間で修士課程を修了できる制度。入学試験時の得点だけでなく1年次の成績でも資格が得られる。

Report.2

「既存概念を変える物質創成への化学的アプローチ」の研究で世界に挑む

修士課程 化学コース2年 | 谷口さん | 高知県出身

 私は早期配属で2年生から小廣先生の有機-無機ハイブリッド材料化学研究室に入りました。高校時代は物理が好きで、ずっと自分は物理系に進むと思っていましたが、ここで思いがけず化学の楽しさにハマりました。そういうところが大学の面白さだと思います。

 私たちの研究室では、“MARIMO(マリモ)粒子”と呼んでいる様々な金属酸化物のナノ粒子多孔体の合成と応用に取り組んでいます。MARIMOとは、“Micro/Mesoporously Architected Roundly Integrated Metal Oxide”の略です。これは、材料分野や生物分野、医薬品分野など多様な領域での応用が期待されている次世代新素材。その中で私は、CO2を処理したり空気を浄化したりする触媒を目指し、酸化セリウム(CeOx)のMARIMO粒子の研究を行っています。

CeOx MARIMOの電子顕微鏡画像

 セリウムは原子番号58の希土類元素。セリウムは三価(Ce3+)と四価(Ce4+)の二つの酸化数をとることができます。酸化セリウムは自動車の排ガス処理触媒としても使われており、Ce3+が多いと性能がよくなることが知られていますが、より安定な状態は実はCe4+の方。最初はCe3+が多く含まれている触媒でも、空気中に置いておくと自然に酸化されてCe4+になってしまいます。しかし、ナノサイズの多孔体であるMARIMO粒子だと、空気中に置いておいてもCe4+になりにくいことがわかっていて、私はさらに高性能な粒子の合成に成功しました。一般に流通している酸化セリウムの触媒はCe3+の割合が23%ほどなのに対し、私が開発したものはCe3+が57%。実際に使ってみると、低い温度でもよく反応することがわかりました。

これまでにMARIMO化した元素

 この合成は、実験開始1カ月という早い段階で成功したのですが、そこから先の評価と応用の段階にとても苦労し、時間を要しました。通常の酸化セリウムはきれいな薄黄色をしていますが、私の粒子は灰色をしています。なぜそんな色なのか、なぜ性能が良いのかなどを地道に研究してきました。論文にまとめるまで3年かかりましたが、先生や先輩のアドバイスも受けながら、今、国際ジャーナルに投稿する最終段階まで来ています。

 大学で自分が全力で取り組める研究テーマに出会えたこと、尊敬できる先生と出会えたことは、私にとってとても幸運だったと感じています。


小廣和哉教授から
 大学では、人生を変えるような研究の“タネ”なり、成果なりに出会えることがあります。たかだか4年、あるいは6年ですが、人間的には一番成長する時期です。みなさんが環境理工学群に入学してくださり、ここで学生として学んでいただけたら一番うれしいのですが、他の大学や研究室でも、自分自身のためにぜひ一生懸命学んでほしいと思います。大学は入ってからがスタート。自分で自分を育ててください。

Visit the Lab ラボ探索

未来に資する研究、世界に通用する研究を行っていくためには、機材や設備など研究環境がとても重要です。環境理工学群の誇る各専攻のラボをのぞいてみました。

環境数理専攻

GIS(地理情報システム)の活用
地理情報やシミュレーション結果などのデータを可視化し分析する様子。

Ge半導体検出器
福島で採取した土壌中の放射性物質を分析する様子。

屋外気象観測装置
風向、風速、気温、湿度、気圧、日射量、雨量などを観測できる。

Next次世代施設園芸ハウス
木質バイオマスによる小型熱電併給システムを活用した環境制御型ハウス。

化学専攻

超電導核磁気共鳴装置
磁場と電磁波で共鳴現象を起こし、原子のおかれた環境や運動状態を評価する装置。

単結晶X線構造解析装置
試料内で規則的に並ぶ原子の空間配列を決定・可視化する装置。

絶対PL量子収率測定装置
発光材料の量子効率を測定する装置。溶液、薄膜、粉体など様々な形態の評価ができる。

生命科学専攻

蛍光顕微鏡
細胞小器官、細胞内の特定の構造、タンパク質の細胞内局在などを観察する。

胚発生の観察
遺伝子改変を行ったゼブラフィッシュの胚の発生プロセスを観察。

飼育の様子
ゼブラフィッシュはモデル脊椎動物の代表格。胚が透明で観察しやすい。

自動菌体移植装置(ROTOR HAD)
PCでの設定により微生物の分離培養を自動的に行う。

マテリアル工学専攻

透過電子顕微鏡
電子線を用いて、試料を透過してきた電子線の強弱から観察対象内の空間分布について知ることができる。
また、試料内での電子の回折から観察対象物の結晶構造を推定できる。原子レベルの観察が可能である。

最新球面収差補正電子顕微鏡
日本にはまだ十数台しかない、単原子レベルでの位置特定や元素の識別が可能!

XPS分析装置
試料表面にX線を照射し、放出される光電子の運動エネルギーを計測することで表面分析を行う。

走査電子顕微鏡
電子線を細く絞り、偏向コイルを用いて試料表面上の微小領域に当て、走査する。電子線が当たると2次電子などが放出されるので、それを検出器で検出する。数ナノメートルの構造まで観察できる。

3Dプリンター
3次元のデジタルデータを元に、造形物を作り出す。

ナノテクノロジー研究センターとの共用設備

液晶ディスプレイに応用される薄膜トランジスタ。その製作から評価までの一連のプロセスが可能な研究設備を学内に有している。薄膜の製作はマイクロメートルオーダーのゴミを排除できるクリーンルーム内で行われ、隣接するラボで機能評価が行われる。同等の施設は日本でも数えるほどしかない。

スパッタリング装置
薄膜をつくる装置。

コーターデベロッパー
基盤を自動洗浄する装置(黄色いのは紫外線をカットするスペースのため)。